今、日本は新型コロナウィルス感染の第四波が襲いかかっています。その流行の速さは、多くが変異株に置き換わっているためと思われます。ようやくワクチンの獲得のめどが立ち、大都市圏では自衛隊を使った大規模集団接種が、われわれの田舎でも自治体と医師会の協力のもと集団ワクチン接種が行われることになり、6月5日より始まります。まず、65歳以上の高齢者が対象で、8月末に終える予定です。その後、基礎疾患のある方、つぎに一般の方と続きます。当院からも医師一人、看護師二人のチームで、8月末まで4回の出動依頼を受けています。
政府はワクチン確保にとてつもないお金を費やしたことでしょう。わが国でワクチン開発が遅れているから仕方がないことです。今までワクチン開発の研究費をケチってきたツケが回ってきたのです。先の新型インフルエンザの流行のあと、ワクチン開発プロジェクトが政府内にあったそうですが、民主党政権下で、あの”どうしても一番でなければいけないのですか?二番でもいいのではないですか!”の無駄をなくす?政策のため研究費予算が削減されたと聞いています。あの女性議員は、自分たちの責任を棚に上げて、コロナワクチンの無策を追及しています。ちょっと腹立たしく思います。
日本のワクチン開発がモタモタしているのに、なぜアメリカはこんなに素早くワクチンを作れたのでしょう。その陰に、ある女性研究者のたゆまぬ努力があったと言われ、早くもノーベル賞候補の噂になっています。その名は、カタリン・カリコと言い、すでにかなり有名になっていますので、ご存知の方も多いと思います。66歳のRNA研究者で、共産主義国家であったハンガリーを、幼子を連れて逃げるようにアメリカに渡り、40年以上もRNA研究に没頭している方です。1978年からmRNAの研究に携わり、2005年に発表した論文とその特許が、今回のファイザー社やモデルナ社のmRNAワクチンの基礎となっています。彼女は、このワクチンの開発でファイザー社と共同で取り組んでいるビオンテック社(ドイツ)の立ち上げにも参加し、現在、副社長をされています。また、今なお現役の研究者でもあるとのことです。
いつパンデミックが起こるかわからないウィルス感染症のワクチン開発は、採算の合わない事業です。そのためmRNAワクチンは主に癌ワクチンに向けられていました。それでもこのビオンテックというベンチャー企業は、ファイザーとの共同プロジェクトとしてインフルエンザワクチンの開発も行っていたそうです。そのテクニックが今回の大ヒットに繋がっています。新型コロナウィルス感染の発生源の中国が批判されていますが、中国の研究者が武漢のウィルスのゲノム解析をいち早く公表したことにより、このmRNAワクチンも早めに開発できたと何かで読んだことがあります(未確認)。この中国の研究者の良心も評価されていいのではないでしょうか。一方、日本では、先の新型インフルエンザ流行後のワクチン開発プロジェクトは予算カットされ、現在の惨めな様相となっています。”喉元過ぎれば熱さ忘れる””備えあれば憂いなし”皆さんどう思われますか?”禍転じて福となる”ことを祈っています。
今年は梅雨入りが例年の20日以上早くなっています。わが家のアジサイもまだ不揃いです。
娘からの母の日プレゼントのアジサイは枯れようとしています。 |