新型コロナウィルスの感染拡大が収まりそうになく、早くも第二波の様相を呈しています。さて、コロナウィルスはいかなるものかをさかのぼって調べてみました。このグループの最初の発見は、1931年に報告されたニワトリの伝染性気管支炎ウィルスです。1940年代にはマウス肝炎ウィルス、豚伝染性胃腸炎ウィルスが報告されました。1960年代になると、風邪に罹った人から、ヒトの病原体としてヒト呼吸器ウィルスが発見されました。1960年後半、電子顕微鏡でこれらのウィルスを観察すると、球状のウィルス表面に花弁状の長い突起があり、その外見が太陽の光冠(コロナ)に似ていることから、コロナウィルスと呼ばれ始め、1971年には、この形態を持つウィルスをコロナウィルス属とまとめられました。家畜や動物では、多くの種特異的なウィルスが発見されていますが、種特異性が高く、種の壁を越えて他の動物に感染することはほとんどないと言われていましたが、あとで述べるSARS,MERS,今回の新型コロナウィルス感染は、すべて動物由来のウィルスでした。
ヒトに感染するコロナウィルスは、今回の新型も含めて7種類が知られています。まず、一般の風邪(感冒:咳、頭痛、鼻水、時に発熱するがおおむね軽症)の病原体に4種類のコロナウィルスが発見されています。1960年代に2種類、2000年代に2種類が発見されました。風邪の10~15%、流行期にには35%はこれら4種類のコロナウィルスが原因となっています。発生は毎年で、世界中何億の人が感染しますが、軽症者がほとんどでパンデミックにはなりません。2002年、中国広東省で発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)は、キクガシラコウモリを宿主とするコロナウィルスによる感染症で、世界30カ国以上で感染が起こり、8422人が感染し、916人が死亡しました(致死率11%)。WHOからGlobal Alert(注意喚起)が出されましたが、2004年に終息しパンデミックまでにはなりませんでした。2012年サウジアラビアで発生確認された中東呼吸器症候群(MERS)は、ヒトコブラクダに風邪症状を起こすコロナウィルスがヒトに感染したと考えられています。アラビア半島を中心に流行していますが、いまだ終息はしていません。
今回の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、2019年末、中国武漢市で初発流行し、瞬く間に全世界に拡大しました。確定ではありませんが、コウモリを宿主とするウィルスが感染源と考えられています。流行の速さ、拡がりからWHOはパンデミックの宣言を出しましたが、いまだ収束する気配が見られません。現在時点(2020・8月初旬)で、全世界で1960万人以上が感染し、72万人以上が死亡しています。日本でも1000人以上の方がなくなっています。最近の3種類のコロナウィルスに共通ですが、重傷者、死亡者の多くは、高齢者や糖尿病、心疾患などの基礎疾患を患っている人です。さらに気になるのは、世界では貧困層にも犠牲者が多いと言われており、コロナ後、ますます格差社会の問題が大きくなりそうです。不穏な社会情勢にならないといいのですが。また、某国大統領らの無知な発言、無策が世界拡大を助長させたかもしれません。日本では、政府の対応、無策を野党が批判していますが、自分たちの具体的な施策も出さずに、相変わらずの無責任な批判ばかりで、評論家と一緒に成り下がっています。
8月10日は、山の日の祭日です。残念ながら、今年の山小屋は、コロナ騒ぎで閑散としているようです。富士山は入山禁止になってしまいました。山小屋での密閉、密集、密接が敬遠されています。私も南アルプスの北岳登山を計画中ですが、中止せざるを得ないかもしれません。
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