院長こらむ : パンデミック(pandemic) その1

今年の正月のブログを記載したときは想像も出来ない事態になっています。新型コロナウィルスの大流行です。このため、東京オリンピックも1年延期になってしまいました。この延期も新型コロナウィルスの流行が収束していればの話で、保証はされていないと思います。ぜひ早く収束することを世界中が望んでいるでしょう。

感染症が制御不能で世界中で流行することをパンデミック(pandemic)と言います。これに対して、ある地域内で、特定の一時期感染が広がることをエピデミック(epidemic)、特定の人々や特定の地域で時々見られる、限定した感染症、たとえば風土病などをエンデミック(endemic)と呼んでいます。

パンデミックを起こしうる病原菌は、ヒト-ヒト感染を起こし、感染力が強いものになります。さらに致死率が高いと重大な世界的流行となります。今回の新型コロナウィルスの流行も、最初は軽症者が多く、しかも死亡するのは糖尿病などの合併症のある高齢者であると言われ、甘く見られていましたが、とんでもない事態になってきました。今までパンデミックを起こした病原菌別感染症は、今回のようなウィルス感染症や細菌感染症、原虫感染症などが知られています。当然、使える薬も違ってきます。今回のように、これまで経験したことのない病原菌となれば効く薬がわからず、パニックとなってしまいます。したがって、感染しないための行動、感染拡大させないための認識が重要となって参ります。日本人の道徳観も試されています。

パンデミックは、古代からその痕跡があります。世界史のなかで、最初の重大なパンデミックは14世紀にヨーロッパで大流行し、7500万人以上の死者を出したといわれているペスト(黒死病)です。パンデミックは、国境を越えた交通の発達、昔は国同士の戦争も発生の要因となっていたと思われます。次回から、今まで起こったパンデミックについて調べ、今回の新型コロナウィルス感染の参考にならないかを考えてみたいと思います。

しばらくコロナ騒ぎが収まりそうにありません。いろいろの予定がことごとくキャンセルになっています。おそらく皆様もそうだと思います。体と精神の健康に気を付けて乗り切りましょう。

 

 

秦 保博氏の作品。今年のあるフォトコンテストで金賞を取られました。