院長こらむ : アンチエイジングのお話 その22

メラトニンは、脳内にある松果体という場所から夜のみに分泌されるホルモンの一種で、主に睡眠に関与していることがわかっています。その調節を行っているのが、目から入ってきたブルーライトです。まずは、メラトニンの分泌の調節がどのようにおこなわれているのかを述べてみたいと思います。

メラトニンは松果体内で、すでに獲得された概日リズムにそって、光刺激に同調してトリプトファンからセロトニンを経て合成される分子量232のアミンです。目から入る光(可視光線)の波長は、400~800nmです。最近、波長460nmのみに反応する視細胞が発見され、これが概日リズムをコントロールすることがわかってきました。可視光線の中で、最も波長が短く、紫外線に一番近いブルーライトの波長は、380~495nmで、この視細胞に反応すると思われます。日中、網膜でブルーライトを感知した視細胞は、体内時計の中枢である視交叉上核を刺激し、その刺激は視床下部から松果体に伝わり、松果体からのメラトニン分泌が抑制されます。このように光刺激に同調して、メラトニンは日中は止まり、抑制がとれた夜のみに分泌されます。

メラトニンは、脳内のレセプターを刺激して眠りへと導きます。さらにメラトニンのレセプターは、大脳だけでなく、体のいろんなところに存在することもわかっています。このことは、体内時計の中枢である視交叉上核から全身に発信される体内時計情報、特に夜の情報の伝達物質をメラトニンが担っていると考えられます。

メラトニン分泌の障害は、概日リズムの乱れと重要な関係にあることは明白です。このことが、いろんな病気と結びつくこともわかっています。つまり、メラトニン分泌障害を予防することは、アンチエイジングに繋がっています。次回は、メラトニン分泌障害がもたらす病気や、メラトニンのいろいろな働きについて調べてみます。

 

冬休みを利用して、ニュージーランドを旅してきました(2/10~16)。南半球にありますので、向こうは夏でした。時差+4時間で、時差ぼけもありません。北島は、暑い夏でしたが、南島は、南極に近くなりますので、かなり涼しい気候でした。南島にあるMt.Cookも氷河の上に積雪を認めました。

 

Aoraki/Mt.Cook  : ニュージーランド最高峰(標高3724m)の山で、南島の南アルプス山脈に位置します。 Aorakiとは、ニュージーランドの先住民族のマオリ・ナイ・タフ族の言葉で、”雲の峰”という意味です。
James Cook 像(クライストチャーチの公園で撮影):ニュージーランドを最初に探索したイギリスの海軍士官です。Aorakiを最初に見た西洋人が、自分の尊敬しているCookの名前を付けたそうです。 世界最高峰の山に比べると標高は低いが、登頂難易度は非常に高く、年間数百名の登山家が山頂を目指すが、その大半は途中で下山しているそうです。イギリス隊でエベレストに初登頂したEdmund  Hielaryはニュージーランド出身で、初登頂に備え、このMt.Cookで訓練したそうです。山麓のホテルに、銅像が建っていました。