院長こらむ:アンチエイジングのお話 その12

腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスは、善玉菌20%悪玉菌10%日和見菌70%が健康な人のバランスと言われています。
菌の内容は、前述の院長コラムをご覧ください。このバランスが乱れると、つまり悪玉菌が増えるとどんな病気をひきおこすのでしょうか。

1)最近わかったことは、バクテロイデスやテタイオタオミクロンという菌の割合が減少し、フィルミクテス門の菌群が相対的に増えると、肥満や糖尿病になりやすいと報告されています。バクテロイデスやテタイオタオミクロンは、食物繊維を分解し、短鎖脂肪酸という物質を産生します。この短鎖脂肪酸が血中に入り、脂肪細胞の脂肪の取り込みを阻止し、肥満を防いでいます。逆に、短鎖脂肪酸が減ると、インスリンの分泌も減り糖尿病になりやすくなります。フィルミクテス門の細菌は食事から取り込むエネルギー量も多く、そのため肥満に結びつきやすいと言われています。また、標準体重の人が高カロリー食を摂取すると、フィルミクテス門の細菌が増加し、バクテロイデス門の細菌が減少したとの報告もあります。

2)腸内フローラ(腸内細菌叢)は、小腸が担っている免疫機能にも影響しています。乳幼児で、ビフィズス菌が少ないとアトピー性皮膚炎にかかりやすいと言われています。ビフィズス菌はリンパ球と連動してアレルギー物質の侵入を阻止します。母乳で育った乳幼児はビフィズス菌を多く持っています。一般に、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌は、免疫力を活性化すると言われています。腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスが崩れ、ウェルシュ菌や大腸菌などの悪玉菌が増えると、免疫力が低下し、病気になるリスクが高くなります。

3)悪玉菌の増加は、免疫力低下と関連しますが、になるリスクも高めます。特に、バクテロイデス・フラジリス菌が増えると大腸癌のリスクが高まるとの報告もあります。肉中心の食事がこれらの菌のエネルギー源になり、悪玉菌増加につながります。

4)幸せな気分にする神経伝達物質のセロトニンは、90%が腸にあり、脳内には2%しかありません。脳内のセロトニンは、腸から前駆体の形で運ばれてきます。その前駆体を作るのが腸内細菌です。腸内環境が悪くなると、セロトニンの前駆体を作ることが困難になります。うつ病患者の脳ではセロトニンが少ないことも解っています。このように、うつ病と腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスの乱れの関係も注目されています。

以上のように、腸内フローラ(腸内細菌叢)の乱れと、糖尿病、アレルギー疾患を含めた免疫力低下癌発生うつ病などとの関連性が考えられています。
次回は、腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスを保つための対策について述べてみたいと思います。

6月、靄のため断念した韓国岳(1700m)登山を、8月27日行いました。朝7時から開始。朝の内は晴れていましたが、午後になると曇り、時に雨となり、ラッキーでした。約2時間余りで頂上に到達。頂上北側には、えびの市が望めます。 頂上南東には、数年前、爆発的噴火を起こした新燃岳(1421m)を望みます。わずかに噴煙を上げていますが、未だに立ち入り禁止です。その後方に、高千穂峰がありますが、残念ながら雲に隠れていました。
頂上南西には、エメラルドブルー?(ややブルーの濃いめでした)の水を蓄えた大浪池が望めます。大昔の噴火口です。韓国岳登山口近くには、硫黄を噴出している硫黄山もあり、九州は活火山群で覆われていると、あらためて思い直しました。 6月えびの高原の道端であった野生の鹿が、頂上近くでも遭遇しました。