今回は、睡眠と関係のあるメラトニンというホルモンについて述べてみたいと思います。メラトニンは、最初、牛の脳の松果体より分離された物質ですが、ヒト脳内でも松果体から分泌されていることがわかり、さらに、昼間は分泌が少なく、夜間に多く分泌されることがわかってきました。その後の研究で、よい睡眠をとる要素と言われています。さらに、研究が進み、この分泌は、目から入る光に関係しており、特に光の中でも、ブルーライトで分泌が抑制されることもわかっています。この日内変動が崩れると不眠の原因になります。一方、高齢者になるに従い、このメラトニン分泌が夜でも低下してきます。面白いことに、このメラトニンのレセプター(メラトニンと反応して作用するところ)は、全身に存在するそうです。睡眠中、全身の臓器に何らかの良い効果を発揮しているのかもしれません。逆に、メラトニンの分泌が低下することが、睡眠障害だけでなく、何らかの臓器障害と関連し、老化を促進している可能性もあります。欧米では、時差ボケ予防にメラトニンがサプリメントとして販売されています。日本では、承認されていません。ただ、最近、睡眠薬として、メラトニン受容体アゴニスト(メラトニン受容体にくっつき、メラトニンと同様の作用をする合成品)が医薬品として発売されています。質の良い睡眠はアンチエイジングに繋がります。先日の抗加齢学会で聞いた話で、余談ですが、スマートフォンやパソコンは、強いブルーライトを発しており、夜にそれらを使用すると、メラトニン分泌が抑制され、不眠の原因になるそうです。特に、子どもたちは、発育の影響が危惧されます。予防策として、もちろん、夜遅くまでスマートフォンやパソコンをいじらないことに尽きるのですが、少し役立つものとして、黄色のメガネをかけると、ブルーライトが遮断されるそうです。
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