老化現象に直接関与しているものとして、酸化ストレスが注目されるようになっています。これは、ヒトを含めた老化生物に、リポフスチンを代表とする老化色素の蓄積が見いだされたことに始まります。リポフスチンは、タンパク質や脂質の酸化物を含んでいることから、老化に酸化が関与しているのではないかと考えられるようになりました。しかし、このような酸化生成物が、老化に伴い増加することはわかっていますが、これが、老化の原因なのか、結果なのかは、まだはっきりしていません。
酸化ストレスをもう少しわかりやすく説明いたします。生体内では、酸素はエネルギーを生み出す上で、絶対必要なものですが、酸素を利用するときに種々のフリーラジカルを含めた活性酸素種を生成しています。生理的には、生体内にこれらを除去する防御機構を備えているため、普通は恐いものではありません。しかし、何らかの原因による活性酸素の過剰な生成や、あってはならない、ある局所での生成は、細胞膜や生体内分子を攻撃して、動脈硬化、脳梗塞、癌などの病気、さらに老化現象を誘発すると言われています。フリーラジカルとは、活性酸素が細胞内において形成した、過酸化水素(H2O2)ヒドロキシラジカル(-OH)スーパーオキシドアニオン(O2-)などを総称したものです。これらの酸化物質は、脂肪やDNAやタンパク質を酸化させ細胞を損傷します。
外因性の活性酸素発生源には、大気汚染物質、放射線、ある種の薬剤、紫外線、喫煙などが知られています。内因性のものとして、ストレス、炎症、虚血(血流障害)などがあります。特に、慢性炎症に伴う活性酸素産生と、老化に伴う抗酸化機構(防御機構)の低下が、相乗作用で老化を促進すると言われています。
以上より、アンチエイジングの一つの対策として、この酸化ストレスをいかに防ぐか(抗酸化)が重要であることがお解りと思います。次回は、抗酸化について述べてみたいと思います。
クアラルンプール(マレーシア)の象徴:ツインタワー。西洋的な都会でした。 | 植民地時代の建物も残っています。 |
世界遺産の古都マラッカ。海峡を望む。 | 日本でおなじみのフランシスコ・ザビエル像。遺体が安置されていた丘に建っていました。 |