精巣の大きな働きは、やはり子孫を残す役目でしょう。思春期になると、精巣からの男性ホルモン(テストステロン)の分泌が盛んになり、二次性徴(声が太くなり、恥毛が生え、陰茎も成長し、男性らしくなること)を起こします。また、夢精(夢の中で、性的刺激を受け、射精すること)もこの頃に経験します。昔、最初の夢精にはびっくりしたものです。これらの変化は、子孫を残す準備が整ったことを表すものと言えます。しかし、結婚してみると、なかなか子供に恵まれないカップルがおられます。一般に、避妊せずに過ごされると、1年後には、85%が妊娠する確率だそうです。最近の定義は勉強不足で定かではありませんが、小生がたずさわっていた頃は、2年しても子供に恵まれないとき、男性不妊として、治療の対象になると教わりました。 不妊カップルの約半数は、男性側に原因があります。その原因として、1)造精機能障害(精巣が精子を造る能力が低下していること) 2)精子輸送路の通過障害(精子は、精巣で造られ、精巣上体・精管・精嚢・前立腺射精管と通過します。そのどこかが詰まっていること) 3)精子の機能障害(精子の形態異常、運動能低下や環境異常など) 4)性機能障害(主に勃起障害ED)などがあげられます。診断の入り口は、まずは精液検査です。WHO基準値(2010年)では、精子濃度は、1ml中に、1500万個以上となっています。あとは、精子の運動率、奇形率、生存率、白血球数などを調べます。 男性不妊症の原因の90%は造精機能障害で、その50%以上は原因不明です。これが、男性側に原因のある不妊症の治療を難しくしています。原因がはっきりしているもので、治療効果が一番良いのが静策静脈瘤です。これは、精巣がら戻る静脈血のうったいが起こることにより、陰嚢(袋)内温度が上がり、精子を造りにくくします。上部で静策静脈を切断することにより、側副血行路(バイパス)を促し、血液の流れが良くなると、陰嚢内温度が下がります。 このように、男性不妊症の治療効果に期待が薄く、一方、体外受精の技術が近年格段に進歩したため、男性不妊症の種々の治療で精液所見を改善し、自然妊娠までいくケースが少なくなっているそうです。体外受精から子宮内へ移植するだけでなく、何らかの方法で精子を獲得(精巣そのものより精子を取り出すことも可能)できれば、顕微鏡を使って、卵細胞内へ精子を注入(顕微受精)させ、妊娠可能となっています。さらに、ノーベル賞で話題になっているiPS細胞で、精子を造れば、処女懐胎が現実のものとなります。すこし恐れをいだくのは、私だけではないと思います。 |
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穂高の秋(H24・10月 森本家光氏撮影) | 熱帯のシンガポールでは、可憐な蘭(ラン)が咲いています。残念ながら名前がわかりません。 | |
今、シンガポールで一番人気のホテル(マリーナ・ベイ・サンド)です。3棟が船型の屋上で連結されているのが特徴です。 | マリーナ・ベイ・サンドの屋上には、プールがあり、直下に、市街のビル群を眺めながら泳げるようになっています。 |