院長こらむ:前立腺のお話 その3

前立腺の病気で、一番心配なのは、やはり癌だと思います。また、最近、確かに、日本での前立腺癌発生率が増加しています。事実、当院への通院患者さんの1/5-1/6は、前立腺癌の方です。こんな田舎の診療所に150-160名の前立腺癌の患者さんが通院されています。では、なぜ癌が発生するのかは、他の癌と同様、正確なところはわかっていません。しかし、前立腺癌の場合、発生原因または誘因と関係がありそうな、以下の非常に特徴的な性格を持っています。
 1)男性ホルモンに高い依存性があります。:たとえば、若い時に何らかの原因で両側精巣をとった男性(腫瘍・事故・性転換・昔の中国に於ける宦官など)には前立腺癌は発生しません。この性格が一番の特徴です。前立腺癌の治療にも利用されています。
 2)発生頻度に地域差・人種差があります。:発生頻度は、一般に、欧米で高く、アジアで低い特徴があります。また、欧米でも黒人の発生率が高いとされています。人種差もありそうですが、ハワイに移住した日本人は、本土の日本人より前立腺癌の発生率が高いという統計報告もあり、環境が大きな要素となっていそうです。
 3)高齢者に多い癌である。:他の癌も高齢者になるに従って癌が多くなりますが、より偏りの多いのが特徴です。50歳以下にはほとんど無く、60歳を過ぎると顕著に増加します。
 4)潜在癌(前立腺内に癌が発生しても、一生何の症状も起こさず、おとなしくしている癌)が多い。:このことは、昔から他の原因で亡くなった方を解剖すると、前立腺癌の合併が多いことで知られていました。このことは、前立腺癌がたとえ見つかっても、その癌の大きさや悪性度などから、治療をせず、経過観察という治療選択と関連しています。

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