院長こらむ:排尿のトラブル その2

排尿の具体的なトラブル(症状)について、数回に分け、説明していきます。
 <頻尿>1日の排尿の回数が異常に多い場合を言います。では、正常は何回かと言いますと、個人差があります。1日の尿量も摂取量や、汗の量、季節などにより異なります。普通の食事摂取で、1000-1500ml程度が多いようです。また、250-300ml程度の蓄尿で排尿します。単純に1回排尿量で1日尿量を割りますと、4-5回となります。初期尿意(前述)は、150ml程度ですので、神経質な人で、尿意を感じたらすぐにトイレに行く習慣の人は、10回でも病的排尿回数にはなりません。一般に、だいたい4-8回が、1日の正常排尿回数と言われています。これ以上の排尿回数で、生活に支障を来たす状態を頻尿と言うべきと思います。代表的病気が急性膀胱炎です。これは、性的行動が多くなる若年から中年の女性に罹りやすく、尿道から細菌(主に大腸菌)が膀胱内に入ったために起こります。排尿痛や残尿感を伴います。これに対し、細菌感染はなく、おしっこをしたくなったら我慢できず、時に、トイレに間に合わず、お漏らしをしてしまう症状を訴える方がおられます。最近、これらの症状のみで過活動膀胱という診断名をつけるようになりました。これは、穿った見方をすると、診断を易しくして、薬を使いやすく(売りやすく)したものと思われなくもありません。
<排尿痛>痛みを感じる時期で、排尿初期痛(排尿の出始めに痛みを伴う)、排尿終末時痛(排尿の終わりかけに痛みが強くなる、または終わったあとズンとくる)、全排尿痛(出始めから終わるまで痛みを伴う)に分けます。排尿初期痛の代表的な病気は、急性前立腺炎です。炎症の程度が強い時は、排尿終末時痛さらに会陰部痛(肛門と陰嚢の間の痛み)も伴います。同時に細菌感染であれば、発熱します。排尿終末時痛の代表的な病気は、急性膀胱炎です。これは、細菌感染でありますが、高熱を来たすことはありません。中高年の男性であれば、膀胱結石の場合もあります。性行動の盛んな男性で、全排尿痛とくに尿道痛が有る場合、まずは、性病による尿道炎です。外尿道口から黄色調の分泌物(膿)がでれば、原因は、淋菌性尿道炎(淋病)が多いです。サラサラした白色調の分泌物ですと、クラミジア感染が考えられます。