女性尿失禁のいろんなタイプの中で、手術で治せるタイプは、腹圧性尿失禁(前回のコラムで説明)です。小生が医者になった頃(約30年前)は、下腹部を開いて行う方法が主流でした。つまり、膀胱の出口を周囲と剥離し、尿道を確認した上で、膀胱の出口ー尿道の両側(膣上壁)を恥骨の裏側へ縫いつけて尿道に抵抗を加える方法でした。その後、20数年前から、特殊な針を使用して、糸や筋膜などで膀胱出口ー尿道をつり上げる方法が開発されました。小切開ですみますので、瞬く間に普及しました。小生は、その中で、Stamey法(下腹部より膀胱出口近くを糸でつり上げる:膀胱頸部挙上術)を行っています。最近は、テープ状のメッシュ(市販品)を用いて尿道の中程を、つり上げることなく、固定する方法(TVT:tention-free vaginal tape)が主流になっています。これは、局所麻酔で可能ですので、日帰り手術も可能になりました。TVTは、テープを下腹部(恥骨上)に出すものですが、ごく最近は、閉鎖孔よりより安全に穿刺する方法(TOT)も開発されていますが、特殊な針が必要ですので、まだ、経験はありません。かなりご高齢の方や、合併症で手術が困難な方などには、内視鏡を使って、コラーゲンを膀胱出口の尿道浅層に注入し、尿道に抵抗をつける方法があります。ただ、簡単で安全ですが、短期間で再発も多く、確実な方法ではありません。当HPの日帰り手術のページや、手術実績をご参照ください。
<ちょっと一休み>冬休みに行ったスキー場の冬景色です。