尿失禁とは、自分の意思と関係なく、尿が漏れてしまう状態をいいます。男性に比べ、尿道が短い女性に多く、「恥ずかしい」「治らない」と相談しにくく、我慢してしまうことが少なくなかったようです。しかし、最近の治療法の進歩により、簡単に出来る手術法や、新薬が開発され、積極的に治療しようという女性の方が多くなっています。尿失禁は、いくつかのタイプに分けられます。
<腹圧性尿失禁>咳やくしゃみ、笑ったとき、あるいは、おなかに力を入れる運動をしたりしたときに起こります。女性に最も多いタイプです。尿道括約筋のゆるみが原因とされ、出産と関係することが多いと言われています。
<切迫性尿失禁>尿意を感じた後、トイレまで間に合わないタイプです。種々の原因で、膀胱が意思と関係なく収縮してしまうために起こります。腹圧性に次いで多いタイプです。上記2タイプを合併しておられる方もいます。
<溢(いつ)流性尿失禁>尿の出が悪く、膀胱に多量の尿貯留となり、膀胱内圧が尿道内圧を越えた時、起こります。前立腺肥大症などの男性に多いタイプです。
<反射性尿失禁>尿意に関係なく、突然、漏らすタイプで、脊髄の障害によって起こります。
<機能性尿失禁>尿意を感じても、排尿ということが認識できない場合(認知症など)や、トイレの場所がわからない場合や、歩行障害などでトイレに間に合わないような”お漏らし”を言います。
上記以外にも、膀胱を支配している神経の障害(神経因性膀胱)、尿道外尿失禁(膀胱と体外に穴が空いた状態や先天的な尿管異所開口など)や夜間遺尿(おねしょ)なども広い意味での尿失禁になります。
以上、”おしっこがもれる”にもいろいろのタイプがあり、治療法も異なりますので、受診される場合は、症状を克明に説明して、医師の診断を受けてください。